オリジナルTシャツやグッズ制作を検討していると、よく耳にする「シルクスクリーン」と「DTF(Direct to Film)プリント」。どちらも高品質な仕上がりが可能な印刷方法ですが、実は仕組み・コスト・向いている用途が大きく異なります。
この記事では、印刷方法選びで迷わないように、「シルクスクリーン」と「DTFプリント」の違いをわかりやすく比較し、目的やシーンに応じた使い分け方をご紹介します。

【1】仕組みと印刷の工程の違い
● シルクスクリーンは「版を作って刷る」方式
シルクスクリーンは、メッシュ状の版を作り、インクをその上から刷ることで生地に直接プリントする手法です。1色ごとに版を作る必要があるため、多色刷りにはそれだけ工程が増え、色数が多いデザインでは手間もコストも上がります。
一方で、大量生産や同じデザインを繰り返し使う場合には、1枚あたりのコストがぐっと下がり、効率的に生産できるという利点もあります。
● DTFプリントは「フィルムに出力→転写」の手法
DTFプリントは、インクジェットプリンターで専用フィルムにデザインを出力し、パウダー処理を経て、熱転写機やアイロンで生地に圧着する方式。版が不要で、1枚からでもフルカラー対応が可能です。
写真やグラデーションなどの複雑な表現もそのまま出力でき、色数に制限がないのが特徴です。

【2】コストとロット数で選ぶプリント方法
● 小ロット・多品種ならDTFが有利
シルクスクリーンは、版代が1色ごとにかかるため、10枚以下の小ロットでは1枚あたりのコストが高くなる傾向にあります。デザインを頻繁に変えるようなケースにも不向きです。
一方、DTFプリントは版を作る必要がないため、1枚からでも手軽に注文でき、少数多品種・テスト生産・試作にぴったりです。
● 大量生産・単色デザインはシルクが安い
反対に、100枚・200枚などの大量生産や、単色ロゴ・文字などのシンプルなデザインの場合は、シルクスクリーンの方が1枚あたりのコストを抑えられます。企業のユニフォームやスポーツチームのTシャツなど、大量・同一デザインを安価に作りたい場合に最適です。

【3】用途や仕上がりの希望に応じた使い分け
● DTFは「高解像度+幅広い素材」に強い
DTFプリントは、写真のようなグラフィックや、グラデーション・細かい文字などの高精細な表現に適しています。また、コットン・ポリエステル・ナイロンなど、さまざまな素材に対応できるため、アパレル、雑貨、販促物など幅広いグッズ制作に活用できます。
加えて、アイロンでも転写できる場合もあり、個人クリエイターや副業スタートにも向いています。
● シルクは「耐久性重視+シンプルデザイン」に強い
シルクスクリーンは、インクの乗りが厚いため、洗濯耐久性や色の濃さで優れるという特徴があります。ユニフォームやイベントTシャツなど、長期使用を想定する衣類やロゴ系のシンプルなデザインには適しています。
ただし、多色表現や写真には向かないため、デザインの自由度はやや制限されます。
DTFプリントとシルクスクリーンは、それぞれに異なる強みを持った印刷手法です。小ロット・フルカラー・多品種対応を求めるならDTF、大量生産・コスト重視・単色デザインならシルクと、用途に応じて使い分けることで、時間やコスト、品質の最適化が可能です。オリジナルグッズを制作する際には、目的や納期、表現したいデザイン内容を明確にしたうえで、最適なプリント方式を選びましょう。






















